第2回:空き家×地域間交流×滞在+被災地=ゲストハウスで日本の過疎地域が抱える社会問題を解決する!

気仙沼ゲストハウス”架け橋”管理代表の田中惇敏です。

今回は、当団体が掲げるビジョンについて更新させて頂きました。

少々長くなっておりますがご拝読のほどよろしくお願いいたします。

1.背景


今日では、過疎地域の人口流出も激しくなり地方行政の体力も衰え、農山漁村地域の限界が叫ばれる中、2020年東京オリンピック開催に向けて更に人やお金が中央に集まることが予想されています。また、少子高齢化、都市集中化、核家族化、情報社会の進行により地方の衰退を招く現象となっており過疎化が深刻化しております。

日本創成会議・人口減少問題検討分科会(座長・増田寛也元総務相)による「消滅自治体リスト」(右図)によると、約1800の市区町村のうち523自治体について消滅の可能性が高いと言われており、 人口減少社会の到来自体は不可避であることが分かります。 

しかしながら、内閣府が201489日発表した調べでは都市住民の31.6%が農山漁村に住みたいと回答しています。特に20〜29歳が38.7%と地域への注目は民間レベルでも集まっていることが伺えます。

 

また、総務省の調べ(右図)では平成25年の空き家率が13.5%にものぼりますが更に増えることが予測されています。

 

一方、東日本大震災では3.11後から多くの問題を抱えておりますが、復興支援のために各分野の専門家が問題の解決策を模索し、地域の新しい方向性を示す成功例も見えてきています。

その一例として、気仙沼市長のお言葉(出典:東北復興新聞10月10日記事)にもあるように人口減少を観光で補う(1人の人口減を年間26人の交流人口で補う)ことができると考えられています。

 

 私たちスタッフは被災地で社会問題解決の現場に立っており、世間一般に印象の深い解決方法の現場の状況を把握し、目立たない社会問題の解決策や地域に入り込む際に必要な知識も学んでいるところです。

そのような経験と若者の柔軟な発想をもって、地域の新しい可能性を模索し過疎地の街興しを行うことが当団体の最終目的となります。

以前よりゲストハウスという形態はありましたが、私たちは運営を通していく中でゲストハウスを中心とした町おこしの可能性を感じました。

2. 主旨

ゲストハウスを運営することによって解決することができる過疎地域の抱える社会問題の解決策として大きく分けて3つあると考えております。

趣旨参考図
趣旨参考図
気仙沼ゲストハウスにて地元の方がサンマの捌き方を学生に教える様子。
気仙沼ゲストハウスにて地元の方がサンマの捌き方を学生に教える様子。

①「地域間交流人口の増加」


過疎地では都市部からの観光客が訪れることにより活性化を図らなければいけません。田舎の良さを再認識する動きが見受けられる今、過疎地そのものである自然、伝統文化、人をゲストハウスの利用客とより深く交流させることが重要であり、ゲストハウスを介して第1次産業のボランティア機会の提供すること、地域のイベントの紹介をすることによって売りこんでいくことができると考えております。

 一方、ゲストハウスの常時の宿泊客には自転車で日本を1周している方や若者など柔軟な発想を持った方、ヒッチハイクの方などが多くいらっしゃっております。


そのような方々と語り部形式で話し合うことによって、一般的な民宿等に比べてゲストハウスの方が宿泊客と地元の方の距離がより近くなるので、宿泊客には街の魅力を知っていただき、地方に外部の視点を取り入れることができ、また観光客が第二の故郷として捉えることで、幾度も通う機会となる人間関係を構築させることができると考えております。

地元の方と九州の学生が食事を共につくることにより交流する。
地元の方と九州の学生が食事を共につくることにより交流する。

 

②「コミュニケーション機会の提供」


核家族化、情報社会の進行により人間関係が希薄となってきておりますが、人と人との触れ合いにこそ本来の意味での豊かさを感じます。


地方では特に地域間の繋がりが強く、日常的な会話が地域住民で共有することができる特性があります。また、高齢者は自らの生きがいを社会の中で価値を見出そうとしているように感じることがあります。私たちは体験を通じて相談を聞くのではなく、相談をしたほうが喜んでくださっている印象を受けます。

実際、ゲストハウスの語り部の皆様は宿泊客との交流を楽しみにしており、こちらから依頼せずとも来て頂くことが多々あり、また、宿泊客も語り部の方と仲良くなり再び訪れてくださったり、その際に語り部の方と食事をされるようになったりと新たな繋がりが生まれています。

一方、宿泊者同士の交流もゲストハウスならではの魅力です。全国から様々な価値観をもった人が集まりますが、ゲストハウスの共有スペースで意気投合し、東京などで地域について語り合ったりするなど、よく耳にします。

そういった都会では感じることの難しい人の温かさを提供することにより人生を豊かにすることができると考えております。

弊団体代表が学生時代に手がけた空き家改修。築110年の長屋門をカフェとして学生ボランティアと地域の皆様のご協力で完成させた。
弊団体代表が学生時代に手がけた空き家改修。築110年の長屋門をカフェとして学生ボランティアと地域の皆様のご協力で完成させた。


③「空き家の有効活用」

地方には空き家が多数存在し、管理の問題など実際に被害が出てきている地域も珍しくありません。

そこで、地方にゲストハウスの機能を持つ施設を建築する際、新築するのではなく空き家の改修をしたいと考えております。


そのようにすることで費用が安価に抑えられ、伝統的な建築物を堪能しながら観光客にくつろいでいただくことが可能です。

また、ゲストハウスは共有スペースを持っておりますが、宿泊客は夕-夜間しか使用しません。そこで、昼間は当該地域に必要な機能を備えた改修を行うことができます。

例えば、地方にはカフェのようなが中高生、若者が気軽に集う場所が少ない傾向にあります。一方、地域活性化を地域全体の意識で行うために若者の初動が大きな効果を示すことがあります。

そこで、当団体スタッフが勉強を教えつつ若者の町おこしの参画を促すことのできる「高校生向けの勉強場所」、Iターンの若者同士が繋がったり地方の方とのつながりを共有したりすることができる「コ・ワーキングカフェ」の機能をもった共有スペースとして改修を行いたいと考えております。

また、特に地域活性化を目的とする際に必要なことは、地方の方と親交を深め信用を置いていただくことです。同じ地方で生活を共にすることで地方の一員として捉えていただくために「地域活性化団体の事務所」、「イベントスペース」などを共有スペースの機能に追加する改修も行うことができます。

このように、ゲストハウスを中心として様々な地域支援活動につながる拠点になると考えております。

 

3.スキーム イメージ図

4.事業内容企画

ゲストハウス(夕-夜間)

・建築基準法に則り建築確認、旅館業法第2条第4項に則り簡易宿所営業許可、消防法に則り消防設備の設置を遵守した空き家の改修を行う。

・当団体(NPO法人登記検討中)が「本来の事業」(法人税法の旅館業)として非営利活動運営する。

・夜間サービス:宿泊、観光案内、地元の方との交流(※)

※宿泊者が宿泊している日の夜間、ゲストハウスに地元の方が来て、

共に夕食を食べたり宿泊したりしながら地域の話や伝統工芸などについて話す。

・宿泊者は宿泊費を支払い、上記のサービスを享受する。

・宿泊費から管理費と話に来た地元の方の人件費を捻出する。

他、有効活用(昼間)

・改修前に地方で求められている機能を調査する。

・ゲストハウス共有スペースを求められる機能に拡充し、求められる機能に沿った法を遵守した改修を行う。

・当団体が「その他の事業」として非営利活動運営する。

・利用者は使用料金を支払い、管理費と運営に関わる人件費を捻出する。

5.終わりに

 2011311日、東北沿岸部を津波が襲った。それに伴い多くのボランティアが現地を訪れた。私もその一人であったのだが、東北の人の温かさに惚れボランティアを通して触れ合った子供の将来が少しでも明るくあってほしい、東北の温かさをもっと多くの人に感じてほしい、そう思い学生のボランティア派遣団体を立ち上げた。

その後は現在まで326名の学生ボランティアの参加をいただき、私個人の東北の滞在期間は500日を超えた。また、スタッフと連日打ち合わせを繰り返し企画立案から事後活動まで行い、私の大学生活はこの仲間と共にあった。

ボランティアの学生、当団体スタッフ、東北の地域の方に本当にたくさんのご協力を頂いたため、今までの活動があり4年間の休学を決めて気仙沼においてゲストハウスの運営を始めることができた。

将来の日本を背負う若い世代としての私たちは東北で学んだことを後世と過疎地に引き継ぐことによって社会に還元していくことがミッションであり東北の方々の愛に応えることのできる唯一の方法ではないかと考えている。

私たちの思い描くビジョンは、東北と過疎地が一丸となり、東日本大震災の教訓を生かし、農山漁村地域の新しい地域の価値を提唱することにある。

(気仙沼ゲストハウス架け橋管理代表:田中惇敏)

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